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地鎮祭
(2007年12月号 VOL.77)
建物を建てる前には、お客様に「地鎮祭(じちんさい)」はどうされますか?
とお尋ね致します。
当然、費用も掛かりますし、お客様のご自由でもありますので、お客様のお考えにお任せしております。
と申しましても、建物を建てるのはそう何度もあるわけではありませんから、ご判断されるのは難しいでし
ょうね。
今回は、この地鎮祭のお話をさせて頂きます。
地鎮祭とは、土木工事や建築工事の着工前に土地の神様に工事の無事を祈願する祭儀です。
道路や橋を建設する公共事業やビルなどの建設工事では多くの方を呼んで結構物々しい地鎮祭になりま
す。最初と最後に代表の方のご挨拶などがあったりして、ちょっとした結婚式の披露宴みたいです。
参列される方も30〜40人になることもありますね。
一方、個人の戸建て住宅の地鎮祭では、ご家族の方と施工会社の方が出席してせいぜい10人以下で行
うことが多いでしょう。
地鎮祭も地域によって若干の違いはありますが、ここでは一般的な戸建て住宅のやり方をご紹介します。
地鎮祭は、日の良い日(大安、友引、先勝)の午前中に行います。
前日までに敷地の中央部分の草刈や石などを取り除いて整地をしておきます。神様をお迎えする祭儀で
すからね。
地鎮祭で施主(お客様)が用意する物は、
@お米(一合)
Aお塩(一合)
Bお酒(一升)
C山の幸(野菜と果物)芋、大根、人参などと、りんごやみかんなど季節のもの
D海の幸(尾頭(おかしら)付きの鯛、鰹節、昆布、するめなど)
E紙コップまたは湯のみ(出席人数分)
F初穂料(はつほりょう)(玉串料(たまぐしりょう))
です。
この内、紙コップは建築会社が用意する場合もあります。
また、ハウスメーカーではお供え物まで用意しているところもあるようですね。
用意するお酒は奉献(ほうけん)と書いた熨斗(のし)をつけます。
その他、お水(1合)が必要な場合もありますね。
初穂料(玉串料)は、2〜3万円ぐらいが一般的のようです。
熨斗袋に初穂料(玉串料)と書いて神主様にお渡し致します。
初穂とは、その年に初めて収穫された稲穂を神様にお供えしていたことに由来します。玉串とは、神前に
玉串(榊(さかき)の小枝)を捧げることに由来しています。
この初穂料とお供え物を合わせて地鎮祭にかかる費用は3〜4万円になるでしょうか。
地鎮祭は仏式やキリスト教式などもありますが、特段の信仰がなければ神式が一般的でしょう。
祭場は南か東を向けて作ります。
多くはハウスメーカーや工務店が作ってくれますが、神主に直接個人が頼む場合などは施主が用意しな
いといけない場合もあります。
建築会社とよく打合せをしないといけませんね。
さて、その祭場ですが、
まずは、敷地の中央に一間(いっけん)(1.8mぐらい)四方に青竹を立てます。
その青竹をしめ縄で繋ぎます。丁度頭の高さぐらいです。
祭壇の右側に鍬入れの儀で用いる砂を山に盛ります。
参列の仕方ですが、祭壇の前に神主さんその後ろに施主が並びます。
施主の後ろに親族、建築会社及び設計者、建築関係者と並びます。
次に地鎮祭の順序ですが
@修祓(しゅばつ)の儀
参列者、お供え物を祓(はら)い清めます。
A降神(こうしん)の儀
神様をお迎え致します。
B献饌(けんせん)の儀
神様のお食事となる神饌をお供えします。
C祝詞奏上(のりとそうじょう)
神様に工事の無事をお祈りします。
D切麻散米(きりぬさんまい)の儀
お酒、塩、米、切木綿を敷地の四隅にまいてお祓いをします。
E鍬(くわ)入れの儀
設計者が鎌で草を刈る刈初め(かりそめ)
施主が鍬で砂を起こす穿初め(うがちぞめ)
建築会社が鋤(すき)で土をならす土均し(つちならし)
を行います。
このとき、エイ、エイ、エイと大きな声を掛けながら3回ずつ行います。
F玉串拝礼(たまぐしはいれい)
神主及び参列者一同が玉串をお供えして拝礼します。
このとき、神主から受取った玉串を時計回りに回して根本を祭壇に向けてお供えし、二礼ニ拍手
一礼をして下がります。
G撤饌(てっせん)の儀
お食事となる神饌をお下げします。
H昇神(しょうしん)の儀
お招きした神様をお送りします。
I直会(おならい)の儀
神饌の神酒のおさがりを頂戴します。
@〜DとG〜Hまでは、神主の後ろでかしこまっていればいいのですが、鍬入れの儀と玉串拝礼では祭
場の中に入りますので、ここを覚えていれば大丈夫でしょう。
Iの直会の儀は、簡単な乾杯を行って終わります。
今まで数え切れないほどの地鎮祭に参列いたしましたが一番印象に残っているのは、吹雪の中での地鎮
祭です。
前日から雲行きが怪しかったので、事前にテントを張って行いましたが寒くって凍えてお客様も可哀想でし
た。
雨なら「文字通り雨降って地固まると申します。」と晴れれば「工事の前途を祝しているような晴天で・・。」
と言えるのですが、なんと言ってよいか困りました。
でも、そのお客様の家は何事もなく無事に工事が進み、今でもお幸せにお暮らしですので、あまり天候な
どは関係がないのかもしれませんね。
大事なのは、工事の無事を祈る心なのでしょうね。
(南)
2007/12
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