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尺貫法
(2005年2月号 VOL.43)

 不動産の広告では土地や建物の面積がuと坪数で表示されていますね。
一度、坪数を書き忘れて「この165.30uって何坪ですか?」とお問合せを受けたことがあります。平方メー トルの表示よりも坪数の表示の方が分かり易いですよね。
お客様との商談でも「この土地は50坪で、建物は40坪です。」と、坪数で言います。(「この土地は165u で、建物は134uです。」って言われてもわかり難いですよね。)
でも、公共取引法では、不動産広告のuの表示は義務付けられていますが、坪数に関しては表示しなくて も良いことになっています。なんか変ですよね。

少し前のお話になりますが、施工図面で「収まりのわからない所があるから来て欲しい。」と、大工さんに 言われ、現場で立合ったことがあります。
大工一筋40年のこの大工さん、私が現場に着くなり「床から4尺あがって、2寸行った所にこの梁がきて、 この柱から5尺下がって3寸戻ったらこの1寸の部材が打てねぇよ。どうする?」
「・・・・。」(何センチなの?)
建築の現場では今でも尺や寸で長さを表すことが多いですよね。尺や寸の長さは分かっても、とても一瞬 で計算までは出来ません。やっぱり、分かりづらいですよね。
しかし、柱の太さでも4寸角とか3寸角とかで言った方が分かりますよね。○センチ○ミリ角とは言いませ んものね。
建築や不動産業界では、この昔からの寸や尺の単位とメートル単位が入り混じって誠に分かりづらくなっ ています。
今回はこの単位のお話をさせて頂きます。

この坪や尺、寸の寸法を"尺貫法(しゃっかんほう)"と言い、中国が起源とされ、広く東アジアで使用され ています。
日本では1966年(昭和41年)に「計量法」の施行により「尺貫法」の使用が禁止されましたが、建築や不動 産の業界で非公式ながら使用されています。
あくまで非公式ですから、広告やパンフレットには「坪あたり○万円」とは表示できず、「3.3平方メートルあ たり○万円」と表示されています。ちょっとおかしいですよね。

尺貫法の「尺」は長さの単位で「貫」は重さの単位です。
ちなみに1尺は30.3cm、1貫は3.75kgです。

ここで建築不動産でよく出てくる尺貫法の単位を整理しておきますと、
1寸=3.030cm
1尺=30.30cm
1間=1.818m

1坪=3.3057u
と、なります。
1坪は畳2枚分の広さです。

ということは、おとぎ話に出てくる一寸法師は約3cmの身長ということになりますね。
その他の尺貫法をメートル法に直すと
「一寸先は闇」は「3センチ先は闇」
「一寸の虫にも五分の魂」は「3センチの虫にも五分の魂」

さて、建物にお話を戻しますが、1坪とは畳2枚の広さですが、この畳の広さは地域によって違います。
京間(本間)では、191cm、
中京間では、182cm、
江戸間は、176cm、
さらに、団地サイズというのがあり、
団地サイズは170cmです。
団地サイズと、京間では21cmも違うことになります。
このうちの中京間の182cmの2畳分が1坪です。
(1坪の広さは地域によって変わることはありません。)
また、1間とは中京間の182cmを言います。
1尺とはこの182cmの6分の1(30.3cm)
1寸は1尺の10分の1(3.03cm)です。

ところで、中京間の182cmに対して団地サイズ170cmは93%の長さですが、広さで比べますと中京間の8 帖は13.24uに対し、団地サイズの8帖は11.56uとなり87%の広さになってしまいます。現物を見るとその 差はもっと大きく感じますので、建物の図面だけで打合せをする時は注意が必要です。

この長さと面積の差は数字が大きくなるほど顕著に表れ、
例えば、10m四方の面積は100uですが、この長さが70%の7mとなりますと、7m×7m=49uとなり10 m四方の50%以下になってしまいます。驚きです。

(南)
2005/2

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