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うだつ
(2006年11月号 VOL.64)

 今月の初めに取引先との研修で四国に行ってきました。(研修とは名ばかりで旅行みたいなものですけ どネ。)
私は生まれも育ちも淡路島で、実家から四国は目と鼻の先です。
鳴門大橋が渡り高速道路が出来てからは、1時間も車で走れば四国に着きます。
しかし、そんなに近い四国ではありますが、私は生まれて此の方一度も行ったことがありませんでした。
灯台下暗し!(ちょっと意味合いが違いますネ。)
ですからこの旅行を、いや研修を非常に楽しみにしていました。
2泊3日の日程で高松から入って徳島〜松山と抜けるコースの研修でした。

ところで、話が変わるようで変わらないのですが、皆さん「うだつが上がらない。」という言葉を耳にしたこと がありますよね。「一人前になれない。」「思う存分に活躍できない。」という意味ですね。
この「うだつが上がらない。」の"うだつ"って何かご存知ですか?
実は今回の研修で徳島県美馬郡の「脇町うだつの町並み」を見に行き、私は始めて知りました。
このうだつとは1階の屋根の上に張り出した壁のことなんですって。
これは、お隣が火事になってしまった場合に、火が自宅に燃え移らないように延焼を防ぐ目的で造られた そうです。

当初は、江戸時代の商家が木造住宅の火事に対する被害の防止の為に造ったものが、それが時を経る うちに"うだつ"の高さを競うようになったそうです。
そして、この"うだつ"の高さが高いほどその家の商売が繁盛している証になるのです。
ガイドさんのお話では、1つのうだつを作るのに現在では100万円ほどかかるそうです。回り四方に造ると 400万円にもなります。(げっ〜)
もちろんうだつが立派で高いほど値も高くなります。
ですから、「うだつが上がらない。」とは、一人前になれず家にうだつを上げる(造る)こともできない。という 処からその意味がきているそうです。
うだつには屋根の上に付く「本うだつ」と庇の下に付く「袖うだつ」があります。
うだつは全国的に岩手県盛岡市から兵庫県但馬地方の範囲に多く存在しているようですが、徳島県以外 にも岐阜県美濃市や兵庫県但馬地方が有名です。
ちなみにうだつとは「卯建」と書きます。

ところで、今回訪れた「脇町うだつの町並み」のほぼ中央には「藍商佐直吉田邸」がありました。
この吉田邸は吉田屋直兵衛が1792年(寛政4)に創業した藍商の屋敷跡だそうで600坪の敷地に主屋・質 蔵・藍蔵など5棟が中庭を囲むように建ち並んでいました。
町並みも古風な趣がありますが、この吉田邸も建てられて200年を越していますので随分と風格がありま した。
屋根組みの梁など長さ5m直径70cmぐらいの太い丸太が何本も使われており、どうやって屋根まで上げ たのか想像もできないくらいでした。
しかし、ガイドさんに聞きますと何度も修復されており漆喰の壁もつい最近塗り替えられたそうです。(確か に壁など綺麗でした。)
この吉田邸は美馬市の指定文化財なのですが、その隣には普通の家が建っていました。もちろん隣の家 の漆喰の壁は剥がれ落ちて時を経ている感じでしたが、ガイドさんはこの壁が本当の佇(たたず)まいなの で、この趣(おもむき)を本来は見て欲しいと言っていました。

ちなみに、昨年この「藍商佐直吉田邸」で将棋の第46期王位戦の第5局が指されたそうです。対局の様子 などの写真が飾られていました。
羽生善治王位(王座、棋王、王将)と佐藤康光棋聖の対局で、百三十三手までで先手番の佐藤棋聖が勝 ち、対戦成績を3勝2敗として初の王位獲得に王手をかけたという事でした。(でも、その後羽生王位が2連 勝し防衛をしました。)

(南)
2006/11

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