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構造力学 その.2
(2006年3月号 VOL.56)

次に縦(せん断力)横(圧縮力)の力が伝わる接合方法として、ピン接合があります。
この接合部を理解するには、正方形のダンボールが2つあると想像して下さい。一つがA部材、もう一つ がB部材とします。そのA部材とB部材をつなぐために、細長いダンボールが一つあります。
その細いダンボールの端を画鋲でA部材に止めます。もう一方の端をB部材に画鋲で止めます。
この状態が先程の移動端接合です。
A部材をB部材方向に押しますとB部材に圧縮力が掛かります。
しかしA部材をB部材と直角方向に移動させようとしても力はB部材には伝わりません。(せん断力は伝わ らない。)
また、A部材を回転させてもB部材は回りません。(曲げモーメントも伝わりません。)
そこで、もう一本細長いダンボールをタスキに入れると、直角方向の力も伝わることになります。
これが、回転端(ピン)です。
この状態でA部材を回転させても、B部材は回転いたしませんが、圧縮力とせん断力は伝わります。
この接合方法を利用した構造にトラスがあります。
トラス構造を利用した建築物は多いのですが、鉄塔などもその一つです。
トラス構造は棒状の部材で三角形を作って組み立てています。

ところで、先ほどのA部材とB部材の接合部に3本目のダンボールを入れるとA部材の回転力もB部材に伝 わることになります。
この接合の仕方を固定端といいます。
この固定端の接合の仕方で建てられた建築物をラーメン工法と呼びます。(食べるラーメンではないです よ。)
鉄筋コンクリート造などがこの工法で建てられている建築物です。
この、移動端、回転端、固定端を支点の3形態といいます。
また、単純梁、トラス、ラーメンを構造の3形態といいます。(単純梁は構造と呼べないかもしれませんが)
この様に並べるとラーメン構造で建てられた建物が一番強そうに感じますが一概には言えずそれぞれに 一長一短があります。
ラーメン構造での接合部は3つの力(圧縮力、せん断力、曲げモーメント)が伝わりますので、その力に耐 えうるだけの部材、接合にしなければなりません。その分建築物の自重は重くなりますし、重い部材では 大きなスパン(間隔、空間)がとれないデメリットがあります。
一般的な鉄筋コンクリート造では、柱と柱の間隔は7〜8mで造られます。
マンションやデパートなどでは、所々に太い柱がありますよね。柱を造らないと大きな梁や床を支えられな いからです。
では、体育館や映画館、コンサートホールなどのように大きな空間が必要な場合にはどうすればいいので しょう?(その3へ続く)
(南)
2006/3

   
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